人々にさまざまな感動を与えてくれた有名人の死は、多くの人に深い悲しみをもたらす。今年も、コメディアンの植木等や横山ノック、ZARDの坂井泉水、俳優の石立鉄男、作詞家の阿久悠、オートバイレーサーの阿部典史、建築家の黒川紀章など、多くの人が世を去ったのだ。海外でも元ママス＆パパスのデニー・ドハーティ、女優のアンナ・ニコル・スミス、元キッスのマーク・セント・ジョン、プロレスラーのクリス・ベノワやカール・ゴッチ、テノール歌手のルチアーノ・パヴァロッティらが亡くなっている。

こうして鬼籍に入った有名人の中で、いまでも愛され続け、多くの収入を得ている人を毎年発表しているのが、米経済誌フォーブスの「死後に稼いだ有名人ランキング（Top-Earning Dead Celebrities）」。昨年は、このランキングが始まった2001年以来1位を守り続けていたエルヴィス･プレスリーを退けて、ニルヴァーナのカート･コバーンがトップになったのだけど、わずか1年でプレスリーが首位に返り咲いたのだ。

1位になったエルヴィス･プレスリーの“年収”は、推定4900万ドル（約56億円）。昨年より700万ドルも上昇しており、これは没後30年となった今年は多くのCDが発売されたほか、「聖地」として知られる豪邸「グレースランド」（米国定歴史建造物）の入場料収入が貢献したとされている。ダニー・キーオ、マイケル・ジャクソン、ニコラス・ケイジと結婚・離婚を繰り返し、現在マイケル・ロックウッドの妻となっている娘のリサ・マリー・プレスリーは、このうち15％の権利を持っているのだそう。リサ・マリーは、何もせずに年間8億円以上の収入があることになるのだ。

次いで、昨年と順位が入れ替わってジョン･レノンが4400万ドルで2位、チャールズ･M･シュルツ（スヌーピーの「ピーナッツ」で有名な漫画家）が3500万ドルで3位となっており、ジョージ･ハリスンは昨年11位から大きくジャンプアップして4位にランクインしている。チャールズ･M･シュルツが昨年と同じ収入なのに比べ、ジョン･レノンは2000万ドル、ジョージ･ハリスンは1500万ドルの大幅増収となったのは、英米アップルよる「リンゴ商標権」闘争の和解が大きく関与しているようなのだ。これでビートルズ楽曲の配信が始まれば、トップ2を独占する可能性も出てきそう。

今年初登場だったのは、ラップミュージシャンのトゥパック・シャクール（2PAC）、俳優のスティーブ・マックイーン、昨年亡くなったジェームス･ブラウン、俳優のジェームス･ディーンの4人。トゥパックはCD売り上げのほかにアパレルブランドも展開しているため、死してなおライバルであるノートリアスB.I.G.を引き離しているみたい。また、スティーブ･マックイーンのランクインは、オークションでコレクション（オートバイ、サングラスなど）が落札されたことが関係しているようなのだ。

前回でカート･コバーンが1位だったのは妻であるコートニー･ラヴが楽曲著作権を売却したためだそうで、今回は13位以内に入っていない。それでも、昨年は今回1位のエルヴィス･プレスリーを上回る5000万ドルを記録しているので、その影響がいかに大きいかが分かるのだ。ちなみに、アインシュタインの収入はこれまでと同様、ウォルト･ディズニー社が発売している乳幼児向け知育商品「ベイビー･アインシュタイン」の版権によるものなのだ。


☆2007年 死後に稼いだ有名人ランキング（米フォーブス誌調べ）

1. エルヴィス・プレスリー （ミュージシャン、1977年没、享年42） 4900万ドル
2. ジョン・レノン （ミュージシャン、1980年没、享年40） 4400万ドル
3. チャールズ･M･シュルツ （漫画家、2000年没、享年77） 3500万ドル
4. ジョージ・ハリスン （ミュージシャン、2001年没、享年58） 2200万ドル
5. アルバート・アインシュタイン （科学者、1955年没、享年76） 1800万ドル
6. アンディ・ウォーホル （画家、1987年没、享年58） 1500万ドル
7. ドクター・スース （作家、1991年没、享年87） 1300万ドル
8. トゥパック・シャクール（ミュージシャン、1996年没、享年25） 900万ドル
9. マリリン・モンロー （女優、1962年没、享年36） 700万ドル
10. スティーヴ・マックイーン （俳優、1980年没、享年50） 600万ドル
11. ジェームス・ブラウン （ミュージシャン、2006年没、享年73） 500万ドル
12. ボブ・マーリー （ミュージシャン、1981年没、享年36） 400万ドル
13. ジェームス･ディーン （俳優、1955年没、享年24） 350万ドル