英音楽誌「Q」、“ナショナル・アンセムズ”50曲発表。

2005/12/24 17:20 Written by コジマ

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今月に発売された音楽誌「snoozer」2月号は、「僕らが英国に恋する理由」としてブリティッシュミュージックを大特集しているのだけれど、その記事のなかで英音楽誌「Q」が選んだ英国音楽ベスト50“ナショナル・アンセムズ”を掲載しているのだ。ナショナル・アンセムとは国歌のこと。ロックを愛する英国人にとっての「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」以上の“国歌”として、Q誌はビートルズの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」を1位に選んだ。

「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」はビートルズ中期の傑作アルバム『サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のエンディングを飾る曲で、ジョン・レノンが大まかな部分をつくり、ポール・マッカートニーが「Woke up, fell out of bed, dragged a comb across my head〜」の部分を担当している。本当の意味でのレノン=マッカートニーの最高傑作といえるのではないだろうか。圧巻はラストのオーケストラ。この部分は「怖い」「頭が狂いそう」と評価する人もいるのだけれど、それはジョンの「ゼロから始めて、世界の終わりのような音を出したい」というコンセプトがしっかり反映されていることを証明しているのだ。その「世界の終わりのような音」41人のオーケストラのそれぞれ一番低い音から段階的に一番高い音まで出すことによって実現された。

今回、Q誌の“国歌”として1位に選ばれたわけだけれど、面白いのが、発売当時、歌詞のなかに麻薬を連想させる部分があるとのことで、英放送局のBBCでは放送禁止となったということ。同ランキングで4位に選ばれているセックス・ピストルズの国歌と同タイトルの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」が放送局やレコード店で放送禁止や発売禁止になっていたこともそうだけど、時代が変わると価値観が変わることをハッキリと証明しているのだ。

詳しいランキングは以下の通り。

1. 「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」 ザ・ビートルズ
2. 「ウォータールー・サンセット」 ザ・キンクス
3. 「ワンダーウォール」 オアシス
4. 「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」 セックス・ピストルズ
5. 「ボヘミアン・ラプソディ」 クイーン
6. 「マイ・ジェネレーション」 ザ・フー
7. 「エンジェルス」 ロビー・ウィリアムス
8. 「ライフ・オン・マーズ?」 デヴィッド・ボウイ
9. 「シンフォニー・フォー・ザ・デヴィル」 ザ・ローリング・ストーンズ
10. 「アンフィニッシュド・シンパシー」 マッシヴ・アタック
11. 「リヴ・フォーエヴァー」 オアシス
12. 「ヘルプ!」 ザ・ビートルズ
13. 「ゼア・イズ・ア・ライト・ザット・ネヴァー・ゴーズ・アウト」 ザ・スミス
14. 「ロンドン・コーリング」 ザ・クラッシュ
15. 「ディス・イズ・ア・ロウ」 ブラー
16. 「ゴーイング・アンダーグラウンド」 ザ・ジャム
17. 「オール・オア・ナッシング」 ザ・スモール・フェイセズ
18. 「カンファタブリー・ナム」 ピンク・フロイド
19. 「ユー・リアリー・ガット・ミー」 ザ・キンクス
20. 「ザ・サイエンティスト」 コールドプレイ
21. 「ハウンズ・オブ・ラヴ」 ケイト・ブッシュ
22. 「バギー・トラウザーズ」 マッドネス
23. 「カム・オン・アイリーン」 デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ
24. 「フールズ・ゴールド」 ザ・ストーン・ローゼズ
25. 「ドライ・ユア・アイズ」 ザ・ストリーツ
26. 「ガールズ・アンド・ボーイズ」 ブラー
27. 「ゼア・シー・ゴーズ」 ザ・ラーズ
28. 「ウェスト・エンド・ガールズ」 ペット・ショップ・ボーイズ
29. 「ラヴ・ウィル・テア・アス・アパート」 ジョイ・ディヴィジョン
30. 「セックス・アンド・ドラッグス・アンド・ロックンロール」 イアン・デューリー
31. 「ビター・スウィート・シンフォニー」 ザ・ヴァーヴ
32. 「ゴースト・タウン」 スペシャルズ
33. 「天国の階段」 レッド・ツェッペリン
34. 「テイク・ミー・アウト」 フランツ・フェルディナンド
35. 「ファイアスターター」 ザ・プロディジー
36. 「コモン・ピープル」 パルプ
37. 「カム・オン・フィール・ザ・ノイズ」 スレイド
38. 「ブラック・トゥ・ライフ」 ソウル II ソウル
39. 「エブリデイ・イズ・ライク・サンデー」 モリッシー
40. 「カーマ・ポリス」 レディオヘッド
41. 「ステップ・オン」 ハッピー・マンデーズ
42. 「タイム・フォー・ヒーローズ」 ザ・リバティーンズ
43. 「アイ・プレディクト・ア・ライオット」 カイザー・チーフス
44. 「ブルー・マンデー」 ニュー・オーダー
45. 「ワナビー」 スパイス・ガールズ
46. 「マギー・メイ」 ロッド・スチュワート
47. 「エヴリバディーズ・チェインジング」 キーン
48. 「(アイ・ドント・ウォント・トゥ・ゴー)チェルシー」 エルヴィス・コステロ
49. 「ブリムフル・オブ・アーシャ」 コーナーショップ
50. 「ティーンエイジ・キックス」 ジ・アンダートーンズ

ビートルズ、ストーンズからフランツ、カイザー・チーフスまで、ツェッペリン、グラムロック、パンク、ニューウェーブ、ツートン、コステロ、スミス、ラーズ、ブリット・ポップ、ロック・リヴァイバルと、英国の音楽史をくまなく網羅している……、いや、ちょっと待って、ジョン・レノンやポール・マッカートニーのソロ曲が入っていないではないか。うーん、これは大いに不満なのだ。不満と言えば、ストーンズとフーの曲が1つずつしか入ってないし、その2バンドを抑えてクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」が5位というのは、納得いかないのだ。たしかにいい曲だけれど……。それと、オアシスの「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」を入れて欲しかったのだ。あと、スパイス・ガールズまで入っているのは驚きで、「20世紀最高のアルバム」と言われている『キッドA』をつくったレディオヘッドは、40位どまりになっているのはもっと驚きなのだ。

「snoozer」の特集ではほかにも、フーのピート・タウンゼントへキンクスのソングライター、レイ・デイヴィスに関する質問をしていたり、ポール・マッカートニーやキース・リチャーズ、リアム・ギャラガーらの「なぜジョン・レノンを愛するのか」という証言集、超超大型新人のアークティック・モンキーズ、ハード・ファイ、ポール・ウェラーへのインタビュー、カイザー・チーフスのフロントマン、リッキー・ウィルソンの「人生の最期に聴きたい10曲」、自伝映画制作と9年ぶりのソロ・アルバム発表を控えたセックス・ピストルズのジョン・ライドン(ジョニー・ロットン)への爆笑インタビュー、そして、同誌が選ぶブリティッシュ・アルバムのベスト50「50 GREATEST BRITISH ALBUMS」が掲載されているのだ。今月の「snoozer」は久々に面白かった。英国音楽が好きなら必見なのだ。

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