ダーウィンが持ち帰ったとされる世界最高齢の亀、175歳に。

2005/11/16 04:28 Written by コジマ

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オーストラリア東部の「オーストラリア動物園」で飼育されているガラパゴスゾウガメ・ハリエット(メス)が15日、175歳の誕生日を迎え、同園でパーティーが開かれたそうなのだ。ハリエットは多くの入園者が見守るなか、大好物のハイビスカスをおいしそうに食べたのだとか。

このハリエット、亀としてはもちろん、動物のなかでも世界最高齢なのだそうで、なんと、1835年に「種の起源」の著者である英国人生物学者チャールズ・ダーウィンが、先日火山が噴火したことをお伝えしたガラパゴス諸島から、ロンドンに持ち帰ったと言われているのだ。

「鶴は千年、亀は万年」といわれるほど長寿の象徴だった亀だけど、実際に万年生きるわけではないのだ。日本に生息しているイシガメ(ゼニガメ)やクサガメの寿命は30〜40年、亀のなかでも長寿種であるゾウガメでも野生なら60年という。飼育されると100〜150年くらい生きる亀もいるそうだけど、175年となるときわめて珍しいのだとか。

ハリエットのガラパゴスゾウガメは亀のなかでも最大・最長寿種として有名で、ダーウィンが進化論を思いついたのは、1835年にガラパゴス諸島へ立ち寄った際、ダーウィン・フィンチ(鳥類)やガラパゴスゾウガメが狭い諸島内で数種類もの亜種がいたことからヒントを得たといわれているのだ。ハリエットはこのときに持ち帰られたとされており、進化論の確立に大きく貢献したのだろう。彼女の存在がなければ、人類の起源は未だに神様の創造物だとされていたかもしれないのだ。

その後、1987年にオーストラリアに“移住”し、「クロコダイルハンター」で有名なスティーブ・アーウィンが園長を務めるオーストラリア動物園で飼育されている。若いときにはロンドン子で、余生は広いオーストラリアで過ごすなんて、すごくうらやましいのだ。

ハリエットが生まれた(孵化した)のは、1830年11月15日。この年の7月に、ウジェーヌ・ドラクロアが描いた「民衆を導く自由の女神」で知られるフランス七月革命が起きており、同級生にはオーストリア・ハンガリー帝国の事実上最後の皇帝フランツ・ヨーゼフI世やフランス人印象派画家カミーユ・ピサロ、ドイツ人指揮者ハンス・フォン・ビューロー(職業指揮者の先駆者。リヒャルト・ワーグナーに奥さんを奪われる。その奥さんの名はコジマ(笑))、フランス人ノーベル賞詩人フレデリック・ミストラルなどがおり、日本人では吉田松陰、大久保利通というビッグネームが名を連ねているのだ。

フランス七月革命のさなかに産声を上げ(フランスにいたわけではないけど)、欧州各国の革命や米国の南北戦争、黒船来航、明治維新、列強の植民地支配、第一次世界大戦、ロシア革命、世界大恐慌、第二次世界大戦、中東戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフリカの独立、中国文化大革命、東西冷戦など、激動の世の中を生き抜いてきたハリエットがしゃべれたら、どんなに面白いだろう。1851年の第1回万国博覧会(@ロンドン)には出演したのかなあ。

これまでの最長飼育記録はアルダブラゾウガメの152年で、推定年齢は180歳。なんでもこの亀は交通事故で死んだそうで、アクシデントがなければもっと長生きしたかもしれない。その記録更新まであと5年なのだ。人間の歴史をつぶさに見てきただろう彼女に「いつまで同じことやってるのよ」と思われないためにも、過去の過ちは繰り返さないようにしたいのだ。

ちなみに彼女、100年以上もオスだと思われていたそうで、名前もハリーと呼ばれていたんだとか。レディーに失礼なのだ。

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