初の個人向け映画ファンド「忍−SHINOBI」が失速、元本割れも。

2005/11/02 15:16 Written by コ○助

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映画製作費を募る新しい方法として、最近にわかに増えている個人向けの映画ファンド。一口10万円程度の金額で個人投資家から資金を集め、映画がヒットすれば投資額に色を付けて利益を還元する仕組みなりが、当然のことながら映画が興行的に失敗に終われば元本割れを起こすリスクも背負っているなりね。まだ日本では投資を募っている段階の作品が多く、興行成績と映画ファンドの収支報告が出揃った作品が無いのが現状なりが、初の個人向け映画ファンド作品として注目を集めた映画「忍−SHINOBI」(9月17日公開、出演:仲間由紀恵、オダギリジョー)の結果がだいぶ見えてきたようなりよ。

話を進める前に、「忍−SHINOBI」のファンドがどのような内容だったのか、簡単にまとめておくなりね。

・総事業費(製作費+宣伝広告費)15億円のうち、5億円分を個人向けに販売。
・興行収入とビデオ・DVDの販売などによる収益を投資家に還元。
・事業成績が不振な場合でも元本の60%が確保されるタイプと、元本の90%が確保されるタイプの2種類を用意(※前者のほうが利益還元額が高い)。
・映画のエンドクレジット、DVDに名前を載せる特典付き。
・元本保証は興行収入20億円前後が目安。

ほかに撮影スタッフ用タオルや特別試写会への招待状など、細々とした特典も付いていたなりが、大きなポイントは上記のとおり。計画では5億円分を個人向けファンドから調達する予定だったなりが、実際に申込みがあったのは1300口程度(1億3000万円)と、出足からやや不安がよぎる展開だったなりね。そして作品の前評判も期待されていたほど高くはなく、公開前から興行収入20億円のラインを超えるのは難しいとの見方が出ていたなりが、どうやら11月上旬の公開終了までの興行収入は15億円程度に止まる見通しとなり、目標に到達しないことが確実な情勢となっているなりよ。それはつまり、投資をした人のもとに10万円以上の現金が戻ってくることは無いということなりね。個人向け映画ファンドを今後日本に根付かせるためにも「忍−SHINOBI」には成功して欲しかったなりが、どうやら期待通りの結果とはいかなかったようなり。

ちなみに、「忍−SHINOBI」以外にはどのような作品が個人向けファンドから資金を調達しようとしているのか、いくつかピックアップしてみるなりね。

・シネカノン製作・配給の20本以上の作品へのファンド「シネマ信託〜シネカノン・ファンド第1号〜」。
・「北斗の拳」のオリジナルアニメ5作品(劇場用映画3作品、ビデオアニメーション2作品)向けファンド「北斗ファンド−英雄伝説−」。
・桜沢エリカ原作、深田恭子主演の映画「天使」のファンド「シネマ信託〜天使〜」。
・人気マンガを原作に、大友克洋氏が監督を務める映画「蟲師」のファンド「シネマ信託〜蟲師〜」。

ヒットするかどうかは別にして、話題になりそうな作品がファンドを募っているのは楽しみなところ。「北斗の拳」や「蟲師」のように、原作ファンが多い作品に関しては「投資」というカタチで応援したい人もいるだろうし、それなりに資金は集まりそうなりよね。利益が還元されるところまでヒットするかは分からないなりが、興味ある人は投資にチャレンジしてみてはいかがなりか?

個人投資家に投資をしてもらうということは、製作サイドはこれまで以上にヒットを狙えるような作品を製作する義務を負うということ。個人向けのファンドが製作費を調達するためだけの手段で終わるのではなく、製作サイドの意識改革にも一役買うことになると良いなりね。

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